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その4

「大事なものは持ち歩く」      S. Kさん(和男) パーキンソン病 76歳

元教師

 

Sさんは元教師で、退職後は地元の世話役的存在。先生をされていたから信頼があったのです。この方はの奥様は、日用品雑貨や、お酒、食品を販売するお店を経営していました。

ところがパーキンソン病にかかり、徐々にうまく歩けないといった症状がでていました。Sさんは、入浴や運動のサービスを受けたり、レクリエーションをしたりするためにデイサービス通っていました。私が訪問する日は自宅で療養。と言う日で、いつもは10時に伺う前に、朝の、歯磨きや、着替え、食事は済ませています。

2011年3月11日東日本大震災後に訪問介護でうかがった時のことです。

奥さんが忙しいとか、ご本人が寝ていたいといった理由でなのか、目がさめて、食事も摂っていない、薬も飲んでいない、寝たままの状態の日がありました。

もともとご夫婦のありかたがどのようなものだったかわかりませんが、奥さんが優位にたっていて言葉が強烈です。旦那さんの方が、○○だなーなど、のんびりした話し方で、お世話になるから仕方ないとような感じが受けとれます。Sは、今までの人生は社交的で外向きだけれど奥さんは、お店番をしながら両親の面倒をみながら生活をしてきたてあまりいいことがなかったようです。そして、遊びも度を越すことも度々だったとも言っていました。朝、寝たままの状態で伺った時奥さんに、温めたタオルを用意してくださいとお願いしました。

奥さんは、「こんなに何も出来なくなって津波にのまれて死んでしまえばよかったのよ。」と怒鳴り声を上げ、その場からいなくなりました。私はびっくりして、帰す言葉がわからなくてご主人にこまっちゃうわね。命まで終わりたくないわよね。悲しいねというと、ご主人は、昔はあーいうやつじゃなかったんだよ俺が悪かったんだよ。というので、反省しているんですね、というと、うんしてると答えたのです。じゃあしょうがないね。

そう話をしているところに、奥さんが着替えなどの支度をして戻ってきました。ベッドの上にはデイサービスに持って行く小さなトートバッグありました。それには貴重品が入っています。本人にとっては大事なものです。「こんなもの邪魔だから流されればよかったのよ」とまた暴言を吐きました。そうしたらご主人が「それは俺の大事なものだー」と叫んだのです。それで私は、「そう、大事なものは、枕もとに置いておきましょう。」と持ってきて、どんなものが入っているのかな、重いねこれといいました。中には、めがね、ペン、メモ帳、それから辞書が入っていまし。辞書は国語辞書でそれも分厚い重いものでした。思わず、え、大事なものは辞書だったんですか?こんな重いもの持ち歩くのですか?デイサービスに行くのに何故辞書がいるの?と聞くと、「どこに行っても俺が先生だったということを知っているんだ。定年退職しても知っている。例えばデイサービスでだけではなくて、今回のような震災で避難所いくだろう、そうすると必ず張り紙をするだろ、でも年取った人はみんな字を忘れるだろ。そうすると、みんな、先生!といって俺のところに字を聞きに来るんだ。俺もこんな病気だけど、大体は答えられる。でも嘘の字は教えたくないんだよ。だからその時に辞書を引いて教えてあげたいんだよ」自分の存在価値ですよね。私がなーるほどと感心して、そうか!それは辞書が必要だとちょっとオーバーに言ったんですよ。すると「だろー」てすごくイキイキして。「だから辞書が必要だし、眼鏡もいるんだよ、字を書くものも大事なんだよ」さすが元先生。というとすごくご機嫌がよくなって、自分を認めてくれて理解してくれたって。私はただただ感心したのですが。

奥様は、枕元をみて、「また、こんなところにこんなものを置いて!」というので、ごめんなさい、すごく大事なものというから枕元に戻したんですよ。といいましたら、もう!と奥さんは怒っていました。今、ご主人に大事なもののお話を聞いてなるほどと思いました、と奥さにんいうと「この人は自分の体だけでも人様にお世話になって、動くのに持ち物まで重いもの持たないでよ。支える方が大変なのよ。」怒ってました。

確かにそれも一理あるなって思ったんです。でも、帰りにその人の尊厳を守るために言わせてもらいました。毎日毎日お世話をしているいやになっちゃうことばかりですよね、体が利かなくて大きい人だと力いるからね。ましてや重いものを大事なものだとかかえられたらね。でもね、今日話を聞いて大事なものというのは人それぞれなんだなーっていうのをしみじみ思いました。理由をきくと、あーってすごく納得したんです。それでも奥さんは、「そんなものクソくらえーだー。」と怒りがおさまらないので、何とか奥さんの機嫌をなおさなくちゃなと思って、前に奥さんとはどうやって御夫婦になられたんですかってご主人に伺ったら「あーあいつか、あんなじゃなかったのに、俺があんなにしちゃったんだな。あいつとはな、大学生時代にダンスコンクールで知り合ったんだ。そのへんに写真があるよ。」ご主人と奥様は大学生の時に社交ダンスで知り合われ、その時の白黒の写真がありました。お二人ともスリムでお似合いでした。そのことを思い出して、奥さんに、ご主人から聞いちゃったんですが、写真を大事に持っていましたよ。素敵でしたね奥様。二人とも若くて細くて素敵なダンスのポーズでしたね。というと奥さんは「やだ、そんな昔の写真」といいながらもぱっと顔が変わってにっこりされましたね。奥さんは社交的な旦那さんで遊んでもいたらしいので苦労させられたのでしょう。奥様の対応も、その夫婦の長年の関係によってのものなので、私達は口出しできませんが、家族がいい関係でいられるようなつなぎの役目もできるんだなと思わせられました。

 

  • 訪問看護をする際、お世話するかたがお話できる体調がよいときに、70年、80年生きてきて嬉かったこと。楽しかったことを伺っています。この方は、このことが大事と!聞いておいた方がコミュニケーションをとる上でとても参考になるからです。

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